結婚式招待状に使ってはいけない色とは?プロが教えるNGデザインと最新トレンド

こんにちは。都内の有名ホテルでウェディングプランナーをしております鈴木彩花と申します。これまで数多くの新郎新婦様の結婚式準備をサポートしてまいりました。例えば、直近では新郎の田中翔太さんと新婦の佐藤美咲さんのお手伝いをした際に、「結婚式招待状で使ってはいけない色はありますか?」というご質問をいただきました。招待状はゲストに最初に届ける大切な結婚式の顔とも言えるアイテムです。デザインにこだわりたいけれどマナー違反は避けたい、と悩む新郎新婦の皆さんも多いでしょう。本記事では、経験豊富なプランナーの視点から結婚式招待状に使ってはいけない色やモチーフ、避けるべきデザインの注意点を解説します。さらに、逆におすすめの色・モチーフや最新の招待状トレンド、招待状作成のマナーや季節との関係、費用や郵送時の注意点まで網羅してお伝えします。大切なゲストに喜んでもらえる招待状作りのヒントに、ぜひお役立てください。
結婚式招待状で色選びが重要な理由
招待状のデザインは結婚式の第一印象を決める重要な要素です。ゲストは招待状を受け取った瞬間から式の雰囲気を想像します。色は特に印象を左右しやすく、結婚式らしい明るく華やかなカラーを選べば「きっと楽しいお式になりそう!」とゲストの期待感を高める効果があります。一方で、不適切な色を選んでしまうと知らず知らずのうちにマイナスイメージを与えてしまう可能性も…。「おめでたい席にふさわしい色」を選ぶことは、実は結婚式のマナーの一部でもあるのです。そこでまず、結婚式招待状に使ってはいけない色にはどんなものがあるのか、その理由と併せて確認しておきましょう。
招待状に使ってはいけない色:避けるべきNGカラー一覧
結婚式の招待状で避けるべき色として真っ先に挙げられるのは、黒やグレー(薄墨色)などの暗い色です。これらは冠婚葬祭のうち「葬」の場、つまり不幸事を連想させる忌み色とされています。日本ではお葬式の案内状や弔事では黒や薄墨の墨色を用いる慣習があり、反対に結婚式のようなお祝い事では避けるべきカラーです。
- 黒(黒色):シックでおしゃれな印象になりそうですが、結婚式招待状のメインカラーとしては不適切です。黒一色のデザインや黒枠の招待状は、喪中はがきや不幸の知らせを連想させます。また、招待状全体が暗いトーンだとゲストに与える印象も重く、「参加したら楽しそう」という明るい気持ちに繋がりにくいでしょう。喜びを分かち合う結婚式にはやはり不向きです。
- グレー・薄墨色:薄墨(うすずみ)とは薄いグレーのような墨の色で、本来は弔事の返信や香典袋の表書きなどに用いられるものです。悲しみで墨が滲んだ様子を表すとも言われ、弔意を示す色とされています。そのため、グレーや薄墨がかった色合いも結婚式招待状ではNGです。特に筆で宛名書きをする場合、薄墨で書くのは絶対に避けてください(※招待状の宛名や本文は濃い黒インクで丁寧に書くのがマナーです)。デザイン面でもグレーが基調の招待状は地味で暗い印象になりがちなので要注意です。
これら以外にも、どんよりと暗いトーンのカラー全般は避けた方が無難です。例えば濃い紺色や深い紫なども、高級感はありますが使い方によっては重すぎる印象になることがあります。特に和装の結婚式の場合、紫は高貴な色である一方で半端な濃淡だと喪服を連想することもあるため、配色には配慮しましょう。基本的には明るく華やかな色合いを選ぶことが、ゲストに喜ばれる招待状作りの第一歩です。
招待状で避けるべきモチーフ・デザイン
色だけでなく、招待状のモチーフや柄にもNGがあります。知らずに選んでしまうと「えっ?」とゲストを戸惑わせたり、縁起が悪いと感じさせてしまう恐れがあるため注意しましょう。代表的な避けるべきモチーフやデザインの例を挙げます。
- 蓮の花のモチーフ:蓮(ハス)の花は美しい花ですが、日本では仏教において極楽浄土を象徴し、お葬式や法事の装飾によく使われる花です。香典袋や仏壇の装飾にも蓮の絵柄が施されることが多いため、結婚式のアイテムに蓮の花を使うのは不吉とされています。招待状のデザインに蓮のイラストや写真を入れることは避けましょう。
- 黒枠・太い縞模様:招待状の枠線デザインにも注意が必要です。黒い額縁状の枠は弔事のお知らせ状を連想させるためNGです。また、太めの縞模様(ストライプ柄)も実は不幸事を象徴すると言われています。これは古くは身につける着物の柄などで縞模様が忌避された風習に由来するとされています。特に白黒の太いストライプなどコントラストが強い柄は結婚式招待状には不向きでしょう。
- その他の不吉なイメージ:明確な決まりがあるわけではありませんが、一般的に死や別れを連想させるモチーフは避けるのがマナーです。例えば、ナイフやハサミ(切断を連想)、割れたリングやハート(別れを連想)、血を思わせるような真っ赤なシミのようなデザインなどは論外です。ほとんどの方は選ばないとは思いますが、ユニークさを狙うあまり過激なデザインにならないよう気をつけましょう。
招待状は「幸せのおすそ分け」とも言われます。せっかくならポジティブなイメージのデザインで揃え、ゲストに手に取ってもらった瞬間から笑顔になってもらいたいですよね。そのためにも、上記のような不吉とされるモチーフやデザインは避け、お祝い事らしい華やかな印象を心がけることが大切です。
季節外れのイラスト・デザインに注意しよう
結婚式の季節感も招待状デザインでは重要なポイントです。例えば春の結婚式なのに冬の雪の結晶モチーフの招待状だったり、真夏の挙式なのに桜満開のイラストをあしらった招待状だったりすると、受け取ったゲストは少し違和感を覚えるかもしれません。季節外れのデザインはマナー違反とまでは言えませんが、ゲストへの気遣いという意味で季節感は揃えるのがおすすめです。
- 季節外れの例:12月の冬婚なのにひまわりやトロピカルな南国風イラスト、逆に8月の真夏の結婚式なのに紅葉や雪景色のデザインなどは「え、この時期に?」と不思議に思われてしまいます。特に年配のゲストほど季節の行事や風物詩を大切に感じる傾向がありますので、季節感がずれたデザインは避けた方が無難です。
- 季節感を活かした例:春の結婚式なら桜やチューリップなど春の花をあしらった招待状、夏ならひまわりや海辺のモチーフ、秋なら紅葉やコスモス、冬なら雪の結晶やポインセチアなど、その季節らしいイラストやカラーを取り入れるととても素敵です。季節感が合ったデザインは招待状と実際の結婚式のイメージが繋がりやすく、ゲストも当日をより楽しみにしてくれるでしょう。
このように、結婚式を挙げる季節に合わせたデザイン選びをすることで、招待状に統一感とテーマ性が生まれます。季節外れのモチーフはできるだけ避け、「○月らしいね」と話題に上るような季節感の演出を意識してみてください。
式場やテーマとちぐはぐなデザインもNG
もう一つ見落としがちなのが、結婚式の会場雰囲気やテーマと招待状デザインの統一感です。招待状は結婚式当日の世界観をゲストに予告する役割も担っています。そのため、式場の雰囲気やお二人が設定したウェディングテーマとかけ離れたデザインは避けたほうがよいでしょう。
- 式場に合わないデザインの例:たとえば格式ある料亭や神社で和婚を行うのに、招待状だけポップなカジュアルデザイン(カラフルなイラストや漫画風のキャラクターなど)だと、当日にゲストが受ける印象とのギャップが大きくなってしまいます。逆に、リゾートウェディングで開放的な雰囲気なのに、招待状が堅苦しい和紙の縦書き一色だと少しちぐはぐですよね。
- 統一感のある演出:結婚式全体のテーマカラーやコンセプトに招待状も合わせると統一感が出ます。例えば、海辺の式場でマリンテーマなら貝殻やヨットのモチーフ、ガーデン挙式でナチュラル志向なら緑の葉や木目調デザイン、ホテルウェディングでエレガントがテーマならゴールド箔押しやリボン使いの招待状にするなどです。こうすることで、招待状を受け取ったときからゲストは当日の雰囲気をイメージしやすくなり、ワクワク感もアップします。
要するに、招待状だけ浮いてしまうことのないように気をつけることがポイントです。「招待状→結婚式当日」までデザインに一貫性があると、お二人のこだわりやおもてなしの心がよりゲストに伝わることでしょう。
結婚式招待状におすすめの色・モチーフ
避けるべき色やモチーフを押さえたところで、では積極的に使いたいおすすめの色やモチーフもご紹介します。結婚式招待状らしい華やかさや、お二人らしさを演出できる要素を取り入れて、オリジナリティと好印象を両立させましょう。
招待状におすすめの色
結婚式の招待状では、基本的に明るくおめでたい印象のカラーがおすすめです。特に人気が高い色とそのイメージをいくつか挙げます。
- 白・アイボリー:清楚で格式高い印象を与える定番カラーです。白は日本では花嫁の色でもありますが、招待状の台紙や封筒の色としては最もオーソドックスで間違いのない選択です。どんなテーマやモチーフとも合わせやすく、上品に仕上がります。
- ピンク系(薄桃色・桜色など):幸福感や愛らしさを演出してくれる色です。特に淡いベビーピンクや桜色は結婚式らしい柔らかな雰囲気になります。春婚には桜ピンク、可愛らしい雰囲気が好きなお二人なら一年中人気のカラーです。
- パステルブルー・水色:爽やかで上品なカラーです。海や空を連想させる水色は夏の結婚式やリゾートウェディングにぴったり。また、パステルブルーは性別や年代を問わず好まれやすい色合いで、落ち着きと清潔感を感じさせます。
- ゴールド・シルバー(アクセント使い):文字色や模様の箔押しなどで使うと一気に華やぎます。特にゴールドは富や繁栄をイメージさせ、お祝い事には人気のカラーです。台紙全体をゴールドにするのは派手すぎますが、ロゴや模様を金箔にする、金のリボンをあしらう等の使い方がおすすめです。シルバーも上品ですが、銀一色だと寂しい印象になりかねないので、白やパステルと組み合わせると良いでしょう。
- 紅白の組み合わせ:日本伝統の紅白はまさにおめでたい配色です。赤は情熱や祝い事、白は純潔と清浄を表します。ただし赤色は強いので、紅白市松模様(紅白のチェック)や水引風の赤ラインなど、ワンポイントで取り入れると品良く仕上がります。和婚や和モダンなテーマの招待状にもマッチします。
この他にも、明るめのオレンジ・イエロー(黄色)なども元気で前向きな印象を与えるため、ポイント使いに人気です。招待状全体のカラーバランスを見ながら、「暗すぎないか」「派手すぎないか」をチェックしつつ、お二人のテーマカラーを活かした配色にすると良いでしょう。
招待状におすすめのモチーフ
続いて、結婚式招待状で人気&好印象なおすすめモチーフを紹介します。先ほどのNGモチーフを避けつつ、季節感やお二人の個性が感じられるデザインにする参考にしてください。
- 季節の花:季節感を演出する王道モチーフです。春なら桜やスズラン、夏ならひまわりやデイジー、秋はダリアやコスモス、冬は椿やポインセチアなど、その季節に咲く花をあしらうと招待状に彩りが添えられます。花嫁が持つブーケの花と合わせるのも素敵ですね。ただし前述の通り蓮の花や白菊(菊も弔事に用いられることが多い)は避けましょう。
- ハートやリング(指輪):結婚式らしさを象徴する鉄板モチーフです。ハートは愛や幸福、結婚指輪は絆を意味し、招待状のワンポイントとしてよく使われます。可愛らしくロマンチックな雰囲気にしたい場合にピッタリです。
- 鳥や蝶などの生き物:結婚式では白い鳩(ピースバード)や鶴など、縁起の良い鳥のモチーフも人気です。鳩は平和と愛の象徴、鶴は長寿と夫婦円満の象徴として好まれます。蝶も「新婦の化身」といわれる縁起物ですが、前述のように日本文化では霊を連想させるという見方もあるため、蝶そのものを大きく描くより花と一緒に飛ばせるなどデザイン次第で上品に使うと良いでしょう。
- 教会・指輪のケースなど結婚式シーン:招待状に結婚式そのものを連想させる教会のシルエットやリングボックス、新郎新婦のシルエットイラストなどを入れるのも定番です。ストレートに結婚式をイメージさせ、ゲストにも一目で結婚式の案内と伝わります。漫画っぽくせずシンプルなアイコン風にすれば子どもっぽくなりません。
- 和柄・伝統模様(和婚の場合):和風の式なら扇子や水引、松竹梅、鶴亀など日本伝統の吉祥模様を取り入れると趣が出ます。水引風のデザインや家紋をあしらったモダン招待状も増えています。格式を保ちつつおしゃれに見せたい場合におすすめです。
いずれのモチーフも、「お祝いの気持ちを表現できているか?」を基準に選ぶと大きく間違いません。お二人の好きなものを取り入れるのも良いですが、それが結婚式にふさわしいポジティブなイメージかどうか一度立ち止まって考えてみましょう。どうしても判断に迷う場合は、担当プランナーやデザイナーに相談すれば専門的な視点でアドバイスしてくれますよ。
結婚式招待状デザインの最新トレンド5選
最近の結婚式招待状は、本当にデザインの幅が広がっています。ここでは2024〜2025年現在の最新トレンドをいくつかご紹介しましょう。招待状づくりのアイデア集めとしてチェックしてみてください。
- 海外風ミニマルデザイン・高級紙
シンプルで洗練された海外風デザインが人気です。余白を活かしたミニマルなレイアウトに、おしゃれな英文フォントや筆記体をあしらった招待状はinstagramなどでも「映える」と花嫁世代に好評。紙質にもこだわり、ざらっとした質感の上質紙や厚手のカード紙、手触りの良いコットンペーパーなどを使うのがトレンドです。封筒にシーリングスタンプ(封蝋)を施したり、カリグラフィーで宛名を書いたりといったひと手間加える演出も流行しています。 - トレーシングペーパー(半透明素材)の重ね使い
招待状本状の上に半透明のトレーシングペーパーを重ね、デザインを2層にするスタイルも最近増えています。透け感のある紙にお二人の名前や「Invitation」などのタイトルを印刷し、その下の台紙にイラストや写真を配置することで、奥行きのあるデザインになります。桜の花びらや葉っぱの模様を透けさせたり、写真をぼんやり見せる演出は「おしゃれで凝ってる!」とゲストにも好評です。 - 写真・イラストでパーソナリティを表現
お二人の思い出の写真や、似顔絵風のオリジナルイラストを招待状に取り入れるカップルも増えています。前撮り写真を表紙に使ったり、趣味や出会いのシーンをイラスト化したりと、ゲストに「二人らしさ」が伝わる演出になります。手作り感が出すぎないようプロに依頼するケースも多いです。ユーモアのあるイラスト招待状は仲の良い友人たちにはウケますが、上司や親戚にも送る場合はデザインのバランスに注意しましょう(幼稚になりすぎないようにするなど)。 - 統一感アップ!他ペーパーアイテムとお揃いデザイン
招待状だけでなく、席次表や席札、メニュー表など当日のペーパーアイテムとデザインを揃えるトレンドも根強いです。例えば、招待状の花柄デザインと同じパターンで当日の席次表やウェルカムボードも統一することで、結婚式全体のコーディネートに一体感が出ます。最近ではプロフィールブック(席次表とプロフィールを冊子にしたもの)と招待状をお揃いのテイストで作れるテンプレートも登場しています。招待状を作る段階で当日の雰囲気まで見据えてデザインを決めると、統一感のあるおしゃれな演出ができます。 - Web招待状との併用
デジタル化の波でWeb招待状を利用する新郎新婦も増えてきました。LINEやメールでURLを送り、ゲストがオンライン上で出欠回答できるサービスです。ただ、年配の方や格式を重んじるゲストには紙の招待状が望ましいケースもあります。最近のトレンドは紙の招待状とWeb招待状の併用です。紙の招待状を基本としつつ、返信ハガキの代わりにQRコードを印刷してオンライン回答してもらったり、詳細案内(地図や当日のお願い事項など)をWebページに載せてURLを記載したりするスタイルです。紙とWebそれぞれの利点を活かし、便利さと伝統のバランスを取る動きが見られます。
以上のように、招待状デザインのトレンドは多様化しています。ただ流行を追いすぎて「お二人らしさ」が損なわれては本末転倒です。トレンドはあくまで参考に、お二人のテーマや好みに合ったものを取り入れてみてください。プロのプランナーとしては、「凝ったデザインほど早めに準備を始めること」を強くおすすめします。時間に余裕があればサンプル取り寄せや印刷の試作もでき、満足のいく招待状に仕上げやすくなりますよ。

招待状作成のマナー&注意点まとめ
最後に、結婚式招待状を作成・発送する際のマナーや実務的な注意点を整理しておきましょう。デザインだけでなく基本的なルールも押さえて、ゲストに失礼のない招待状準備を進めてください。
●招待状作成の基本マナー
- 送付時期:招待状は結婚式のだいたい2〜3か月前には発送するのが一般的です。遅くとも式の6週間前までにはゲストの手元に届くようにしましょう。招待状の準備には印刷や宛名書き、封入作業など時間がかかりますので、挙式日が決まったら早めにスケジュールを立てて。
- 宛名書きと表現:ゲストの名前を書く宛名面は丁寧に心を込めて準備しましょう。毛筆や筆ペンで濃い墨(黒)を用い、正式な表書きルールに則って書きます(縦書きが一般的です)。肩書きや敬称「様」の付け忘れがないよう注意し、夫婦連名や家族宛の場合の書き方もマナー本などで確認しましょう。差出人である新郎新婦の名前は連名で入れ、結婚することの報告と招待の旨を丁重な文章で綴ります。忌み言葉(別れる・終わる・帰る 等の不吉な表現)は招待状の本文では使わないようにします。
- 招待状の構成:封筒の中には通常、本状(招待状の本文)・返信はがき・挨拶状(付箋)・地図(会場案内)などを同封します。入れ忘れがないように注意しましょう。本状には結婚式日時・会場・挙式挙宴の有無・差出人名など必要情報を漏れなく記載し、格式ある文面にします。親御様の名前で招待する「親招待形式」か、お二人の連名で招待するかもあらかじめ決めておきます。
●デザインにこだわる場合の注意点
- サイズ・重量と郵送費:デザインに凝るあまり招待状が規定サイズを超えてしまうと郵送時に追加料金が発生する場合があります。日本郵便では定形郵便の最大サイズ(長辺23.5cm×短辺12cm、厚さ1cm以内、重量50g以内)を超えると定形外扱いとなり、切手代も高くなります。最近は用紙や封筒が厚く重くなる傾向もあるため、完成した招待状一式の重さは必ず計量しましょう。2024年以降、25gを超える招待状は切手料金が110円(定形50gまで)です。50gを超えるとさらに高額になりますので注意してください。凝った装飾(厚手のリボンやチャームなど)で厚みが出ると、郵便枠をオーバーしてしまう場合もあります。送料だけでなく郵送中の破損も心配ですので、デザインと郵送実務のバランスを考えることが大切です。
- 紙質と印刷:紙の質感にこだわるのはとても良いことですが、印刷適性にも気を配りましょう。凹凸の強い紙や光沢のある紙は家庭用プリンターではインクが乗りにくかったり、文字が滲んだりすることがあります。専門業者に依頼する場合も、希望の紙に対応できるか確認が必要です。また、あまりに薄い紙だと裏写りして安っぽく見えることも…。厚み0.2mm以上のしっかりした紙を選ぶと高級感が出ます(一般的なコピー用紙は0.1mm程度なので、その倍くらいが目安です)。可能であれば事前にサンプルを取り寄せて手触りや印刷仕上がりを確認すると安心です。
- 保存のしやすさ:ゲストの中には招待状を記念に取っておく方もいます。そのため、保管しやすい形状かという視点も持ってみましょう。極端に大きすぎる招待状や、立体的すぎてアルバムに収まらないような招待状だと、保管に困らせてしまうかもしれません。最近流行りのドライフラワー封入などもおしゃれですが、時間が経つと花が崩れたり色褪せたりする可能性があります。ゲストへの気配りとして、長く手元に残しておけるデザインだとなお良いでしょう。
- 招待状の部数と予備:デザイン作成に夢中になると見落としがちですが、必要な部数を正確に把握して多めに用意しておくことも重要です。「あとで○○さんも招待したい」と思い立った時に追加発注では時間がかかりますし、印刷ミスや書き損じのための予備も必要です。通常は招待予定人数+予備分5〜10部程度を用意しておくと安心です。
●返信ハガキ・切手のマナー
- 返信ハガキの準備:同封する返信用ハガキには、最初から切手を貼っておくのがマナーです。ゲストに負担をかけないよう、必ず慶事用の切手(祝い事用の図柄の切手)を貼付しましょう。近年は切手代が改定されることもあるので、事前に郵便局で確認し不足のないようにします。返信期限も明記して、ゲストが出し忘れないよう配慮してください。
- 招待状封筒の切手:招待状の封筒にも当然切手が必要です。こちらも寿や松竹梅などの慶事デザイン切手を選ぶと細部まで気配りが行き届いた印象になります。料金は前述の通り重量によって変わりますので、発送前に1通まるごと郵便局で重さを測ってもらいましょう。デザイン封筒で定形外サイズの場合は料金が変わるだけでなく、窓口差し出しが必要なケースもあります。また、切手の貼り方にも配慮を。せっかく素敵なデザインの招待状ですから、曲がって貼らない、汚さないといった基本はもちろん、封筒のレイアウトに合わせて美しく貼るとよいでしょう。
- 宛名面の最終チェック:投函前にもう一度、全ての封筒の宛名を書き間違えていないか、入れ忘れの封入物はないか、切手は貼ったか――ダブルチェックを必ず行いましょう。特に漢字の間違いは失礼にあたります。上司や恩師など敬称の書き方にも注意が必要なゲストは複数人で確認すると安心です。
心を込めた招待状で最高のおもてなしを
結婚式の招待状は、お二人からゲストへの最初のおもてなしです。だからこそ色やデザインのマナーに気を配り、「使ってはいけない色」や不適切なモチーフを避けることが大切です。一方で、堅苦しく考えすぎずにお二人のテーマや季節感を活かしたオリジナリティあふれる招待状に仕上げれば、きっとゲストにも喜んでいただけます。
今回ご紹介したポイントをおさらいすると、
- NGカラー:黒・薄墨・グレーなどの暗い色は避ける(不幸事を連想させるため)。
- NGモチーフ:蓮の花、黒枠、太い縞模様など縁起の悪いデザインはNG。季節外れのイラストや式場とちぐはぐなデザインにも注意。
- OKカラー:白、アイボリー、ピンク、パステルブルー、ゴールドなど明るく華やかな色が◎。
- OKモチーフ:季節の花、ハート、指輪、鳩や鶴などお祝いらしいモチーフ、和婚なら伝統柄もおすすめ。
- トレンド:海外風ミニマルデザイン、トレーシングペーパー重ね、写真やイラスト活用、ペーパーアイテム統一、Web招待状併用など最新トレンドも参考に。
- マナー:送付時期は2〜3ヶ月前、宛名や本文の書式と言葉遣いに注意。切手は慶事用を貼り、重量オーバーに気をつける。部数に余裕を持ち、発送前にチェックを怠らない。
大切なのは、「この招待状でゲストに喜んでもらいたい」という気持ちを込めて準備することです。その想いは必ず招待状を通じて伝わります。私自身、プランナーとして新郎新婦様と一緒に招待状を考える際は、いつもゲストの笑顔を思い浮かべながらアドバイスしています。
この記事を読んでいる新郎新婦のお二人も、ぜひ楽しみながら招待状作りを進めてみてください。マナーを踏まえつつお二人らしい工夫を凝らせば、きっと世界にひとつだけの素敵な招待状が完成するはずです。その招待状を受け取ったゲストは、「こんな招待状初めて!」「結婚式がますます楽しみになったよ」と感激してくれることでしょう。
晴れの日に向けた準備は大変なことも多いですが、心を込めた招待状でゲストをお迎えし、最高の結婚式の幕開けを飾ってくださいね。専門家としてもお二人の門出が素晴らしいものになるよう願っております。お読みいただきありがとうございました。
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Profileこの記事を書いた人
■勤務先
都内有名ホテルのブライダル部門
■経験年数
プランナー歴9年(年間担当挙式数20〜30件)
■人物像
・穏やかで丁寧なコミュニケーションが得意。
・マナーや礼儀作法に関する知識が豊富で、特に招待状や席次表などゲストへの配慮を重視。
・トレンドにも敏感で、新郎新婦の理想を的確に理解し具現化する提案力に定評。
■得意分野
・フォーマルかつ洗練された挙式スタイルを実現するプランニング。
・細かな配慮を必要とする年配や職場関係のゲスト対応。
・色やデザインなど、新郎新婦の好みやマナーを考慮した細部へのアドバイス。
■サポートスタイル
・新郎新婦が迷った際には、的確で具体的な選択肢を提示し判断を助ける。
・ネット上の情報との整合性も確認し、新郎新婦の疑問や不安を解消。
・SNSやトレンド情報も積極的に取り入れつつ、ゲストの視点も忘れない。
■対応姿勢
・常に新郎新婦の意向を尊重しつつ、プロとしての提案を明確に伝える。
・準備段階から式当日まで一貫して、安心感のあるサポートを提供。
・マナーやエチケットに関する質問には、根拠と理由を明確にして回答する。