結婚式招待状のマナー完全ガイド|発送時期・文面・封筒のルールと注意点を解説

結婚式の招待状は形式に則って作成・発送することが大切です。親しい友人相手とはいえ、正式な結婚式の案内状である以上、ビジネス文書や礼状と同じように守るべきマナーがあります。「知らずに失礼なことをしてしまった」という事態を防ぐために、結婚式招待状のマナーを基礎からしっかり押さえましょう。ここでは招待状準備の段階で新郎新婦が気をつけるべきマナーやルールを、送り方・文面・封筒それぞれの観点から解説します。
招待状発送のマナー
まずは招待状を「いつ・どのように」送るかに関するマナーです。送付時期や方法ひとつにも気遣いを示すことで、ゲストに対して丁寧な印象を与えられます。
- 発送時期:一般的に結婚式の2〜3ヶ月前に招待状を発送するのがマナーです。遅くとも披露宴の6週間前(1ヶ月半前)までには届くようにしましょう。ゲストが予定を調整しやすいよう、十分な時間的余裕を持たせることが大切です。また、できれば招待状の投函日は六曜の大安にあたる日を選ぶとベターです(日本では大安は「何事にも吉」とされる日で、結婚式や招待状発送日に好まれます)。細かいことのようですが、こうした気配りが年配ゲストには喜ばれるでしょう。
- 返信期限の設定:返信ハガキの締切日は、結婚式の1ヶ月前を目安に設定します。発送日から約3週間〜1ヶ月後くらいの日付にするとスムーズです。こちらも大安や友引などできるだけ良い日に設定できると尚良いでしょう。返信期限を過ぎても返事がない場合は、新郎新婦側から電話等で出欠の確認を丁寧に行ってください。
- 事前連絡:正式な招待状を送る前に、出席をお願いしたい方へ事前に口頭で打診しておくのが大人のマナーです。特に主賓として招く上司や恩師、ご祝辞を依頼する方などには、招待状送付より前に直接会ってお願いと出席の依頼をしましょう。突然招待状が届いて驚かせることのないよう、友人知人に対しても可能な範囲で事前連絡をしておくと親切です。
- 手渡しする場合:近しい友人や職場の同僚などには、郵送ではなく直接手渡しで招待状を渡すケースもあります。この場合も郵送と同じ時期(結婚式2〜3ヶ月前)に渡すようにし、返信ハガキもしっかり同封してください。手渡しする際は封筒に切手は不要ですが、封筒自体はしっかり糊付けして封をします。相手に会ったタイミングで「ぜひ出席してください」と一言添えて手渡ししましょう。もちろん、手渡しする相手にも発送した人と同様に返信ハガキの記入・返送をお願いする必要があります。
招待状の文面マナー
次に、招待状に書く文章の内容や書き方に関するマナーです。結婚式の案内文にはビジネス文書とは異なる独特の慣習があります。
- 句読点は使わない:結婚式の招待状や祝い状では、「、」「。」などの句読点を打たないのが正式マナーです。お祝い事に終止符を打たないという意味合いから来ています。文章中で改行や空白をうまく使い、句読点を入れずに読みやすい文面を心がけましょう。ただし最近ではカジュアルな招待状も増え、全く句読点がないと逆に読みづらい場合は入れるケースもあります。その場合でも句読点は極力控えめにし、「。」は使わず改行で対応するなど工夫すると良いでしょう。
- 忌み言葉・重ね言葉を避ける:結婚式では不吉な連想をさせる言葉(忌み言葉)や、「重ね重ね」「ますます」等の繰り返し言葉(重ね言葉)を使わないのが基本です。招待状でも、「終わる」「別れる」「戻る」「切れる」「返す」などの語は別の表現に言い換えます。例えば「戻る」は「お帰りいただく」に、「重ね重ね」は「心から」に置き換える等、ポジティブな表現に改めましょう。特に決まり文句ではありませんが、受け取った方が一瞬でもハッとしないよう配慮することが大切です。また「笑」「(汗)」といったカジュアルすぎる表現も正式な文書では避けます。
- 書き出しと結び:招待状の文面は、時候の挨拶やお礼から始まり、結婚の報告と招待の旨を伝え、結びの挨拶で締めるのが一般的です。例えば、「拝啓 ○○の候 皆様には益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。さて このたび私たちは…」のような形式的な書き出しが用いられます。格式を重んじる場合は頭語と結語(拝啓—敬具)を入れるとより丁寧です。結びでは「末筆ながら○○様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます」などで締め、日付・差出人名を記載します。親しい友人向けであっても、砕けすぎない丁寧な言葉遣いを心掛けましょう。
- 差出人名の表記:招待状の差出人は、新郎新婦本人の連名とするケースが多いですが、両親がホスト役となる場合は両家の親の連名で出すこともあります。差出人が誰かによって文面の書き方が変わります。両親名で出す場合は、文中も「このたび○○様のご子息○○さんと△△様のご令嬢△△さんが結婚式を挙げる運びとなりました…」というように親から見た第三者目線の文章にします。本人連名の場合は「私たち○○と△△は…」と当人からの第一者の文章でOKです。自分たちに合った形式を選び、文面全体の語り口調を統一させましょう。

封筒・宛名のマナー
最後に、招待状の封筒や宛名書きに関するマナーです。細かな部分ですが、ここにも伝統的な決まりがあります。
- 毛筆または黒インクで宛名を書く:封筒の宛名は毛筆(筆ペン)や万年筆など、濃く太い黒で書くのが正式です。ボールペンも可ですが、その場合も黒インクを使用し、カラーペンや鉛筆、消えるボールペンは厳禁です。薄いグレー(薄墨)は弔事用の表現なので絶対に使用しないようにしましょう。手書きが難しい場合は毛筆風フォントで印刷する方法もありますが、その際もかすれのないよう濃い黒で印刷します。
- 宛名の敬称:招待状を受け取る相手の名前には必ず「様」を付けます(会社宛ての場合は「御中」)。夫婦で連名の場合はそれぞれの名前の後ろに「様」を付けます(「山田太郎様・花子様」)。子供も招待する場合、子供の名前にも「様」をつけるか、「ご家族様」「ご一同様」とまとめる表記にします。ただし目上の方に「ご家族様」は失礼にあたるとの意見もあるため、可能な限り個人名を列記するのが丁寧です。また、宛名は正式には外袋(封筒)と内袋の両方に書きます。内袋には住所は書かず名前のみを「○○様」と記し、外封筒には住所+氏名「○○様」を書くのが正式です。
- 差出人の表記:封筒の裏側には差出人(招待状の送り主)の住所・氏名を明記します。郵便事故防止のためにも忘れずに記入しましょう。差出人も毛筆または黒インクで書きます。差出人を新郎新婦本人にするか両親連名にするかは、招待状の差出人と統一します。最近は両親の名前は出さず本人たちだけで出すケースが多数派です。
- 切手の選び方:招待状の封筒に貼る切手にも配慮しましょう。料金を満たすのはもちろん、可能であれば慶事用切手(寿シール付きの切手やお祝いムードのデザインの切手)を用いるとベターです。普通の切手でも差し支えありませんが、間違っても弔事用切手(白黒の蓮の図柄など)は使用しないでください。返信ハガキにも切手を貼ってから同封しますが、この切手もできれば祝い用のものを選ぶと細やかな気遣いが伝わります。
まとめ:心のこもった招待状でおもてなしを
結婚式招待状のマナーは一見細かい決まりが多いですが、それらはすべて「ゲストに失礼がないように」「お祝いの気持ちをしっかり伝えるために」受け継がれてきた心遣いです。基本ルールを守った上で、お二人ならではのメッセージや演出を添えれば、形式的でありながら温かみのある招待状になります。マナーを押さえつつ心を込めた招待状を準備し、大切なゲストを気持ちよくお迎えしましょう。
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Profileこの記事を書いた人
■勤務先
都内有名ホテルのブライダル部門
■経験年数
プランナー歴9年(年間担当挙式数20〜30件)
■人物像
・穏やかで丁寧なコミュニケーションが得意。
・マナーや礼儀作法に関する知識が豊富で、特に招待状や席次表などゲストへの配慮を重視。
・トレンドにも敏感で、新郎新婦の理想を的確に理解し具現化する提案力に定評。
■得意分野
・フォーマルかつ洗練された挙式スタイルを実現するプランニング。
・細かな配慮を必要とする年配や職場関係のゲスト対応。
・色やデザインなど、新郎新婦の好みやマナーを考慮した細部へのアドバイス。
■サポートスタイル
・新郎新婦が迷った際には、的確で具体的な選択肢を提示し判断を助ける。
・ネット上の情報との整合性も確認し、新郎新婦の疑問や不安を解消。
・SNSやトレンド情報も積極的に取り入れつつ、ゲストの視点も忘れない。
■対応姿勢
・常に新郎新婦の意向を尊重しつつ、プロとしての提案を明確に伝える。
・準備段階から式当日まで一貫して、安心感のあるサポートを提供。
・マナーやエチケットに関する質問には、根拠と理由を明確にして回答する。